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おぼえておきたいこと わすれちゃいけないこと

 
04
 
hiyo

金曜の夕方、家に帰ると真っ先に猫が出迎えてくれる。
いつものように餌をあげ、荷物を置くと部屋のすみから
「ピヨ」という音がする。
なにげなく覗いてみると、そこに明らかに「鳥」らしい
物体がある。

慌てて近づき手を差し伸べると簡単にその鳥は手の中におさまった。
(猫が捕まえてきたのだな)そう容易に想像できたので
そのままそっと庭に出て、その幼鳥を放した。

「ピヨ」「ピヨ」

と何度か鳴き声を発するも、親らしい姿も声もせず
自力で飛ぼうとしない。猫にあまがみされてどこか傷ついているのかも。。
しばらく距離を置いて見ていたが、親鳥が迎えにくることはなく
そのまま放置してもまた猫にやられると思い、家に戻した。

確か物置に鳥小屋があったよな、と思い、それを引っ張り出してきて
夕食の後、鳥巣やら餌を買いに行った。
と、いってもこの時点で「何鳥」かもわからないし、
何を食べるか、どれくらいの量を与えるかもわからない。
とりあえず、鳥餌と水は与えて一晩様子をみた。

よく日、紫雲寺に野鳥保護センターがあるのを思い出し、電話する。
これこれこんな鳥を保護しましたと係の人に話すと、どうも「ひよどり」らしい。
保護センターでは、基本的に幼鳥の受け入れは事情がない限り断ってるらしく
巣があった場所に戻してくださいと言われた。
しかし、猫がつかまえてきたため、巣がどこにあるかもわからない。
他には協力動物病院へ相談するか、自力で保護するか。
協力動物病院も、獣医師の判断で対応しない場合もあるので
まず電話で相談してみるようにと言われた。
「元気そうなら、ひよどりは雑食性なので比較的簡単ですよ」
係の人はそういう。飼育法をメモし、自宅で様子を見ることにする。

ドッグフードをふやかしたものと、トマトが好きらしい。
ワーム(虫の幼虫)も食べるそうだが、こればかりは勘弁してほしいので
(ほんとにこんなもん食べるんかい?)と思いつつ
ドッグフードはなかったのでキャットフードをふやかし与えてみる。
あんまり食いつきが良くなかったので、トマトの皮をむき
小さくちぎって与えたら、美味しそうに食べた。

でも、イマイチ不安だったので、近所にある協力動物病院に電話してみる。
「ひよどりらしい鳥を保護したんですけど…」そう電話で伝えると
スタッフが「先生は今、手が離せないのでこちらから連絡します」という
仕方ないので先生からの電話を待つが、一向にかかってくる気配がない。
(そりゃ、金にならない鳥のことなんか後回しだろうな)
そう思い、ネットで調べたり鳥に詳しそうな友人に電話してみた。

基本的に野鳥は勝手に飼育してはいけないらしい。
何件か、ひよどりの飼育に成功した例がネットに出ていて参考にする。
友人曰く、野鳥はよっぽど運が良くないとだめらしい。
今元気でも、鳥は極限まで元気そうにしてパタリといくので気をつけた方がいい
そして、もしそうなっても自分を責めないようにと忠告された。

忘れた頃に獣医師から電話がかかってくる
「来週火曜に市が回収に来るんでそれまでは保護できますが」
「ともかく巣のある場所を探して返してあげるか、直接保護センターに持ち込めば保護してくれますよ」
言いぶりがどことなく(面倒だからウチに持ち込まないでね)といった雰囲気だったので
獣医師に持ち込むことはやめた。

お昼にトマトを美味しそうに食べ、食欲もあるんで大丈夫だなと思い
もう少しネットで検索してみた。ついでにメールボックスを開くと
「お誕生日おめでとうございます」といった自動送信されたDMが、わんさかきてた。
あ、そうか…今日、誕生日だったな。そんな事すら忘れていた。
そんな中で、何通か、友人からのお祝いメールもあった。
とても不義理をしているのに、申し訳ない気持ちでいっぱいだったが
ともかく、今はひよちゃんが先だよな。。と思い不義理させてもらった。(ごめんなさい)

ネットで果物も好きと書いてあり、イチゴも好物だとあった。
たしか、昨日もらったイチゴがあるよな、と思い、小さく切って
ひよちゃんの巣に向かう。「ひよちゃん~。イチゴだよ~」そう言って抱き上げた時
ひよちゃんは、すでに硬直が始まっていた…。

さっきまであんなに元気だったのに…

まだぬくもりもあるけれど、明らかに死を待つのみでくちばしも硬く閉ざされたままだ。
たしか、ポカリスエットもいいらしい。そう気がついて
ポカリスエットをスポイトでそのくちばしにたらす。
もう、その時点で自ら動く力はなかった…

息子に「ひよちゃん、もうだめかもしれないよ」そう伝えると
わずかに残る温もりを確かめつつ、羽をなでてあげた。
それから15分も経たないだろうか。すでに冷たくなっていた。

ふわふわとした体を手のひらに乗せ、息子と一緒に庭に穴を掘って
ひよちゃんを弔った。眼があいたままのひよちゃんに土をかけるのは
しのびなく、こちらも眼の奥がキュンと痛くなった。
庭にあった花を1本折ってたむけ、どちらからともかく念仏をとなえた。

夕方、娘が帰ってきて「ひよちゃん、死んじゃった」というと
昨日の元気な姿しか見てない娘は一瞬信じられなかったらしい。
あっという間で、ほんの一瞬の思い出しか作れなかったね。

友人に自分を責めないようにと言われたけれど
それでもやっぱり「これでよかったんだろうか」と自責の念にかられる。
もっと早くに対応していたら、もっと詳しく情報を知っていたら…
いや、自然の中で、無事巣立ちできずに死んでしまう幼鳥もたくさんいるだろう
猫やカラスにやられる幼鳥も多いという
猫につかまった時点で弱っていたのか、猫につかまった事で弱ったのか
もっと手厚く保護してあげればよかった。
そもそも、本当は必死で巣を探してあげるべきでなかったのか。
やっぱり保護しちゃいけなかったんだろうか。
でも、そのままではやられてしまう鳥を見過ごしにはできなかった。。

最後に、トマトを美味しそうに食べたこと
最後に、死に水をあげられたこと

これだけを救いに、一晩だけのひよちゃんとの思い出をここに記します。

歳ばかりとっても、まだまだ知らないことだらけなのを
思い知らされた。ひよちゃんがこの日にやってきたことも
きっと意味のあることだよね。
この日のことを
ひよちゃんと縁があったことを
忘れないようにしよう
そう心に刻んだ日でした

※長文、読んでくださってありがとうございました。

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  • 新潟在住、アラフォーで三人の子持ち。ステップファミリーだったり、元ライターだったり、出版社勤務経験あり?だったり、そんな普通じゃないような「あんまま(別)」の普通な毎日です。
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